とあるドラゴン映画の感想

これまでドラゴン要素に惹かれて数々のドラゴン映画を見てきましたが、今回あまりにもひどいドラゴン映画を見てしまい居ても立っても居られなくなってしまったので感想を書きます。

おそらく私がこれまで見てきたドラゴン映画の中でワースト一位です。

ちなみにこれまでのワースト一位は「ドラゴン~竜と騎士の伝説~」だったのですが、今回の映画はその記録を軽々と塗り替えてしまいました。冒頭三分ほどで「この映画は何だかやばい気がする」という嫌な予感が頭を掠めましたが、その想像を遥かに超えてくるダメっぷりでした。これはすごい。B級を通り越してC級かもしれない。いやZ級か。

脚本も映像も音楽もキャラクターもカメラワークも全部やばい。唯一良かったのはドラゴンの造形がすごくかっこよかったことぐらいです。でもドラゴンの出演シーンはたぶん5分にも満たないです。しかも予算の関係なのかほとんど動きません。ドラゴン騎士団の後ろに合成されて吠えてるだけです。

とにかくもう突っ込みどころが満載で腹抱えて爆笑しながら全部見てしまいました。すごく失礼なことを言ってしまうのですが、こんなへんてこへっぽこ映画がこの世にあるなら私のダメすぎる本編も存在を許されるのではないかと思ってしまいました。それぐらいやばい。

まず主人公の騎士が情緒不安定すぎる。仲間の何気ない発言に何の前触れもなく急にキレ散らかして怒鳴りだすので見ているこっちがハラハラしました。

ちなみに仲間というのは騎士を一目見て憧れてついてきた酒場のウェイター(足手まといな上に全てにおいてオーバーリアクションでうざい)と、騎士の命を狙っている女の刺客(敵に忠誠を誓っていたのに唐突に味方になった)なのですが、数分前まで命を狙ってきた刺客を特に理由もなく仲間に引き入れるだけでも色々やばいのに、その次のシーンで女刺客と騎士が焚火を囲んで旧知の仲のように談笑し始めてて脳が混乱しました。剣の練習をしているウェイターを二人して優しく見守りながら「あいつ純真だな!」とか笑い合ってる始末。

このパーティーどうなってんだよ…急に距離を詰めてきたぞ…

そんで何が気になったかって、この騎士も刺客もほんと何にもしないんですよね…。

大事な仲間が殺されそうになっても、民衆が皆殺しにされていても、味方の王様が敵軍の兵士に斬られても、

「やめろー!」と大声で叫びスローモーションで大地に崩れ落ちるだけで特に何もしない。

刺客に至っては背中に背負ってる弓は何のためにあるのかと問いたい。「やめろー!」とか叫ぶ前になんで弓矢を使わないんや。なんで意地でも接近戦にしようとするんや。凄腕の弓使い(という設定)でしょうが。叫んでる暇があったら矢を放て!はなてー!

なんかもう書くのがめんどくさいので詳細は省くのですが…騎士たちはドラゴンを探してまして、紆余曲折ありつつもドラゴンの居場所を記した地図を手に入れるのですが、それを嗅ぎつけた敵が地図を奪いに来てしまいます。

敵兵士は仲間(酒場のウェイター)を人質にし、その首元に剣を突き付け、仲間の命が惜しければ地図をよこせと脅してきます。

そしたらなぜか敵の目の前に隠していた筈の地図を堂々と見せて「死んでも絶対に渡さない!」と宣言する女刺客。

なんでわざわざ見せた?取ってくれと言わんばかりの行動の意味は!?でもこれはまさか作戦なのか!?と思ったらそんなことはなく案の定地図は奪われました。そんでウェイターも殺されそうになりますがやっぱり「やめろー!」と叫ぶだけ。意地でも弓は使わない。てか無策で喧嘩売ってたんかい。

でも敵も色々へっぽこなんで結局刺客もウェイターも助かったわけですが。

この映画、味方も敵も含めて登場人物全員の頭が悪すぎる。ドラゴンに至っては力を失って炎が噴けないドラゴンという設定の筈(この設定はすごく良いと思ったのになあ…)なのに、急に騎士に向かって炎を噴いてくる。もはや初期設定すら忘れているのかドラゴン…。

あと戦闘シーン全部がもうほんとしょぼくてしょぼくて…。素人目から見てもやばいとわかるへなちょこ剣捌き。「今から斬るのでよけてくださいね」「はいそれでは避けますね」的な、役者さん同士の綿密な打ち合わせの上で斬りかかってるんだろうなとわかってしまうような戦闘でした。

味方の軍勢と敵軍がぶつかり合うシーンでは急に出所不明の霧が大発生し、画面がよく見えなくなる始末。ごまかしの霧の中で少人数が剣を振り回しているのがうっすら見えました。大軍勢の筈なのに三人ぐらいしか視認できない。予算がなかったんだろうな…。

カメラワークもやばいです。戦闘シーンとかたぶん一緒にスタッフも走ってるんだと思うんですがとにかくブレブレです。普通のシーンですらぶれまくってるところがある。固定できないタイプのカメラなのかな。ハンディカメラ?これはホームビデオか?

あとスローモーションを多用しすぎです。くしゃみしてさくらんぼが地面に転がってくシーンとかスローモーションにする意味ある?何なの。もう、何なの?

そんで何でもないシーンで謎のへっぽこBGMが急に入ってくる。これも気になって仕方がない。あと、このシーン要る?とか、このシーンこんな長尺で撮る必要ある?と思ってしまうシーンも凄く多い。

一番いらんかったシーンはラビットパイのワンカットだったと思います。あのシーンはあまりに意味不明で唐突すぎて呼吸困難になるほど笑いました。気になる方はぜひ本編でご覧ください。いや、ご覧くださらなくて大丈夫です…。

しかも一時間半かけてドラゴンを仲間にしただけで他は特に何も解決していません。つまり続編を作るつもりなんでしょうか…もし続編が公開されたら絶対見ます。

だって何も解決していないんだもの…みつを

ちなみにこれだけ言っておいてあれですが私はこの映画、とても楽しく見ました。爆笑しまくってすごく元気が出ました。

この映画に出会えたことに感謝します。

そしてここまで書いてしまった以上、色々と怖くて映画名がお伝え出来ません。個人的にご連絡いただければタイトルをお伝えします…。